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プラダ 財布 メンズ 評価編集

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 と私はまた、何の意味もなく、微笑して言った。 「うん」  鶴川も私を見て微笑した。二人はこの二三時間が自分たちの時間であることをしみじみと感じていた。  砂利の広い道がつづくかたわらには、美しい水草をなびかせて、清冽《せいれつ》な水の走っている溝《みぞ》があった。やがて名高い山門が目の前に立ちふさがった。  寺内にはどこにも人影がなかった。新緑のなかに多くの塔頭《たっちゅう》の甍《いらか》が、巨大な銹銀《さびぎん》いろの本を伏せたように、秀でていた。戦争というものが、この瞬間には何だったろう。ある場所、ある時間において、戦争は、人間の意識の中にしかない奇怪な精神的事件のように思われるのであった。  石川五右衛門《ごえもん》がその楼上の欄干《らんかん》に足をかけて、満目の花を賞美したというのは、多分この山門だった。私たちは子供らしい気持で、もう葉桜の季節ではあったけれど、五右衛門と同じポーズで景色を眺めてみたいと考えた。わずかな入場料を払って、木の色のすっかり黒ずんだ急傾斜の段を昇った。昇り切った踊り場で鶴川が低い天井《てんじょう》に頭をぶつけた。それを笑った私も忽《たちま》ちぶつけた。二人はもう一曲りして段を昇り、楼上へ出たのである。  穴ぐらのようなせまい階段から、広大な景観へ、忽ちにして身をさらす緊張は快かった。葉桜や松のながめ、そのむこうの家《や》並《なみ》のかなたにわだかまる平安神宮の森のながめ、京都市街の果てに霞《かす》む嵐山《あらしやま》、北のかた、貴《き》船《ぶね》、箕《み》ノ裏《うら》、金《こん》毘羅《ぴら》などの連山のたたずまい、こういうものを十分にたのしんでから、寺の徒弟らしく、履物《はきもの》を脱いで恭《うやうや》しく堂《どう》裡《り》へ入った。暗い御堂には二十四畳の畳を敷き並べ、釈《しゃ》迦《か》像を中央に、十六羅《ら》漢《かん》の金いろの瞳《ひとみ》が闇に光っていた。ここを五《ご》鳳楼《ほうろう》というのである。  南禅寺は同じ臨済宗でも、相国寺派の金閣寺とちがって、南禅寺派の大本山である。私たちは同宗異派の寺にいるわけである。しかし並の中学生同様、二人は案内書を片手に、狩野《かのう》探幽《たんゆう》守信と土佐法眼徳悦の筆に成るといわれる色あざやかな天井画を見てまわった。  天井の片方には、飛翔《ひしょう》する天人と、その奏《かな》でる琵琶《びわ》や笛の絵が描かれていた。別の天井には白い牡《ぼ》丹《たん》を捧《ささ》げ持つ迦陵頻《かりょうびん》伽《が》が羽《は》搏《ばた》いていた。それは天竺雪山《てんじくせっせん》に住む妙音の鳥で、上半身はふくよかな女の姿をし、下半身は鳥になっている。また中央の天井には、金閣の頂上の鳥の友鳥、あのいかめしい金色の鳥とは似ても似つかぬ、華麗な虹《にじ》のような鳳凰が描いてあった。  釈尊《しゃくそん》の像の前で、私たちはひざまずいて合《がっ》掌《しょう》した。御堂を出た。しかし楼上からは去りがたかった。そこで昇ってきた段の横手の南むきの勾欄《こうらん》にもたれていた。  私はどこやらに何か美しい小さな色彩の渦《うず》のようなものを感じていた。それは今見て来た天井画の極彩色の残像かとも思われた。豊富な色の凝集した感じは、あの迦陵頻伽に似た鳥が、いちめんの若葉や松のみどりのどこかしらの枝に隠れていて、華麗な翼のはじを垣《かい》間《ま》見せているようでもあった。  そうではなかった。われわれの眼下には、道を隔てて天授庵《てんじゅあん》があった。静かな低い木々を簡素に植えた庭を、四角い石の角《かど》だけを接してならべた敷石の径《みち》が屈折してよぎり、障子をあけ放ったひろい座敷へ通じていた。座敷の中は、床の間も違《ちが》い棚《だな》も隈《くま》なく見えた。そこはよく献茶があったり、貸茶席に使われたりするらしいのだが、緋《ひ》毛氈《もうせん》があざやかに敷かれていた。一人の若い女が坐《すわ》っている。私の目に映ったものはそれだったのである。  戦争中にこんなに派手な長振袖《ながふりそで》の女の姿を見ることはたえてなかった。そんな装いで家を出れば、道半ばで咎《とが》められて、引返さざるをえなかったろう。それほどその振袖は華美であった。こまかい模様は見えないが、水色地に花々が描かれたり縫取りされたりしており、帯の緋《ひ》にも金糸が光り、誇張して云うと、あたりがかがやいていた。若い美しい女は端然と坐っていて、その白い横顔は浮彫され、本当に生きている女かと疑われた。私は極度に吃《ども》って言った。 「あれは、一体、生きてるんやろか」 「僕も今そう思っていたんだ。人形みたいだなあ」  と鶴川は勾欄にきつく胸を押しつけ、目を離さずに答えた。  そのとき奥から、軍服の若い陸軍士官があらわれた。彼は礼儀正しく女の一二尺前に正《せい》坐《ざ》して、女に対した。しばらく二人はじっと対坐していた。  女が立上った。物静かに廊下の闇に消えた。ややあって、女が茶碗《ちゃわん》を捧げて、微風にその長い袂《たもと》をゆらめかせて、還《かえ》って来た。男の前に茶をすすめる。作法どおりに薄茶をすすめてから、もとのところに坐った。男が何か言っている。男はなかなか茶を喫しない。その時間が異様に長くて、異様に緊張しているのが感じられる。女は深くうなだれている。……
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